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4.環境保護とエコツーリズム開発事業
近年、地球規模の環境保全に関する国際的意識は大きく高まっています。地球上最大の酸素供給源として知られるアマゾン流域の環境保護は、その代表例として、もはや人類の共通課題として認識されるまでに至っています。
ところが、ブラジルが誇るもう一つの自然の楽園パンタナールに関する国際的関心はまだまだ低いのが現状です。このパンタナールもアマゾンと同様に、近年急速な森林環境破壊に直面しています。衛星写真を通してパンタナール地域を観測すると、森林伐採が土壌弱化と河川への土砂流失をもたらしていることを容易に確認されます。森林は単に酸素供給源であるだけでなく、全ての生態系において生命の源泉でもあります。近年急速化している森林破壊は、魚、鳥、昆虫の食料源である植物相の破壊、そして動物相の破壊をもたらしています。
さて、その保護の必要性が認識されつつある一方、パンタナールに保存されている世界有数の広大な原自然は、将来性の高い観光資源として、現地の雇用問題改善と経済発展をもたらすことを期待されています。
したがって、パンタナールにおいては、その自然環境を保護しながら、いかに観光開発を進めていくかが今後の重要なテーマとならざるを得ません。
こうした実情を踏まえて、私たちは1996年来、パンタナールの玄関口ミランダ市に位置する農場ホテルサロブラにおけるエコツーリズム開発を進めるとともに、1998年には非営利団体「湿地研究所:The Waterland Research Institute for Water and Land Resources, Inc.」(本部:米国ペンシルバニア州Gouldsboro市、ブラジル支部:ジャルジンプロジェクト本部内)を設立しました。 湿地研究所は設立以来、
- 「パンタナールの環境保全と持続可能な開発に関する世界会議:The World Conference on Preservation and Sustainable Development in the Pantanal」
- 第1回会議(1999年2月26日〜26日ワシントンDC、議長:Dr. Marcelo Alonso, 米諸州機構OAS前科学技術局長)
- 第2回会議(1999年10月15日-15日ワシントンDC、議長:Dr. Noel Brown, 国連環境プログラムUNEP元北米局長・Friends of the United Nations会長)
- 現状視察ツアー(2000年1月6-10日:Dr.Noel BrownUNEP元北米局長、Larry Pressler米国上院環境委員会前委員長、Dr. Thomas Crismanフロリダ大学湿地帯センター所長、Jonathan B. Tourtellot,National Geographic Traveler magazine編集長などが参加)
などの主催や出版物を通して、パンタナールの保護と持続可能な開発への啓蒙活動を行ってきました。
これら一連の活動は、2000年11月27日から12月2日にかけて開催された第24回ユネスコ世界遺産委員会総会におけるパンタナール保全地域のユネスコ世界遺産リスト登録という形で実を結びました。